知り合って7年で実った恋愛

僕が彼女を見つけたのは、19歳と4ヵ月だった。当時僕はとある県で公務員として働いていた。高卒ストレートで公務員になった僕は、世間知らずのガキだった。そのくせにプライドだけやたら高いというはっきり言って扱いにくいガキだったと思う。僕が彼女を初めてみたのは職場の階段だった。僕の職場は女性が極端に少ない職場だった。だいたい仕事の予想はつくと思う。いわゆる治安を守る仕事だ。だから職場ですれ違う女性というのはすごく貴重な存在だった。特に若い女性となればなおさらだ。僕は階段を上っていた。彼女は階段を下りていた。緊張しながら階段を上る僕に彼女は「こんにちは」と声をかけてきた。世間知らずのガキのくせにプライドだけは高い、この僕に。僕は上を向いた。そして目も合わずにあいさつをした。いや顔もよく見られなかったかもしれない。ちゃんと見ることができなかったのだ。理由ははっきりしている。彼女がかわいかったからだ。いわゆる一目惚れというやつだ。初めての職場で緊張していたのもあるのかもしれない。でも一目惚れの事実に変わりようはないのだ。少しして知ったのだが、彼女は僕より5歳上の24歳のお姉さんだった。そして当時は彼氏がいた。だから僕は何もしなかったし、正直恥ずかしがり屋だったからできなかったのが正直なところだ。それから実は5年間も何も彼女とはなかった。というか連絡先も知らなかった。その間彼女は色々あったらしい。不倫したこともあったようだ。その間僕も僕なりに色々あった。デリヘル嬢と付き合ってみたりもした。僕が24歳になって職場が変わった。彼女は元の職場から既に変わっていた。僕は彼女がいる職場に移ることになった。僕はうれしかった。だって久しぶりに会えるのだから…その時僕は決めていたことがあった。今度こそ彼女に連絡先を聞こうということだった。転勤し、彼女の課にも挨拶にいった。そして「お久しぶりです」と話しかけた。その時はとても緊張した。彼女はそこら辺の職員に対するように淡々と僕の挨拶に返してくれた。あまり手ごたえはなかったが、一歩成長だった。そこから新しい職場に慣れたころ、彼女に連絡先を聞いてみた。断られるかもしれないと思った。でも彼女は快諾してくれた。そして今度ご飯に行くことも約束できた。初めての食事、お酒を飲んだ彼女は饒舌だった。彼女の色々な話を聞いた。それは好きな異性の口からは聞きたくないような話もあった。不倫の話はまさにそれだ。でも僕は彼女を知りたくて黙って聞いた。彼女の嫌な一面を見ても嫌いにならない自信があったからだ。嫌な面を含めて、彼女のことを愛したいとこの時の僕は渇望していた。だから全然苦ではなかった。本当だ。もちろん僕の話もした。初めての彼女がデリヘル嬢だった。そして初体験もそのデリヘル嬢だったと。彼女は僕の恋物語を笑って聞いていた。「初体験の相手が上手な人で良かったね」と笑ってくれた。彼女が僕の話で笑ってくれたことが僕には本当にうれしかった。僕は彼女のこんな笑顔をずっと見ていたいと思った。でもそれは難しいかもしれない。だって彼女はかわいいのだ。不倫するほどかわいいのだ。でも僕は決意を決めて、こう言った。「初めて階段で出会った時から好きだった。付き合ってほしい」と。彼女は、少し困った顔した。たぶん僕が恋愛対象じゃないから不倫の話もしたのだろう。そんな僕からこんなことを言われては困ってしまうのも納得できる。彼女はもうビールを10杯ほど飲んでいたが、真剣な顔で「少し時間が欲しい」と言った。まもなく食事は終わった。そして結果を聞くまで1週間かかった。その間、僕は仕事が手につかなかった。僕にとってはほぼプロポーズと同じくらいの覚悟だったからだ。1週間後彼女からの答えは「OK」という短いラインだった。僕はうれしかった。有頂天になった、人生で一番の。その半年後僕らは結婚した。付き合って半年での結婚はスピード結婚だと周りに言われた。もちろんそんなことは僕にもわかっている。でも僕とっては5年越しのプロポーズだったのだ。かまうもんか。4年たった僕の隣には今日も彼女がいる。今日も彼女の笑顔を見たいと思って、話のネタを探している。