彼と初めて会ったのは、私が社会人1年生の仮配属先でした。彼は1歳年上の先輩で、第一印象は「女好き」。いつも女性といる印象があったからです。
別にタイプではなかったし、はっきりいって恋愛対象としては見ていませんでした。
しかも彼は事あるごとに私のことを小馬鹿にして、からかってきたのです。それもかなりしつこく!そんな人に好印象を抱く女性がいるでしょうか?いるはずありませんよね。
仮配属されると、先輩である彼とともに行動することが多くなり、必然的に会話する機会が増えていきました。
そんな日々の中で、彼への印象が単なる「女好き」から「へぇ、意外にしっかり仕事はするんだなぁ。」とちょっとだけ昇格したことを覚えています。
本配属は彼とは別の部署で、ビル内での階数も違ったので、「これで毎日からかわれなくて済むからよかったぁ。」と安心していました。
でも、なぜか現れるんです!
毎日毎日、私のいる階に来ては人のことをからかうのです。
「この人なんなの?」と思いながらも先輩なので文句も言えず、つくり笑いをしながらやり過ごしていました。
ある日、お昼休みに食堂へ行くと既に食事をしている彼と目が合いました。案の定、次に出た言葉は私をからかう言葉。
ムッとした私は思わずテーブルに置いてあった布きんを彼に向けてぶん投げたのです。
食堂がシーーーンとなりました。
冷静さとか常識とかを考える間もなく、ただ本能だけが私を突き動かしました。
今まで溜まったストレスが一気に爆発してしまったのです。
その日から私は彼のことを完全無視という作戦で対抗。すると彼は徐々に私の前に姿を現さなくなったのです。
これで平和な日々がやって来ると思っていました。なのに、どこか物足りなさを感じる自分に気づいてしまったのです。
「え?この感情は何?」
彼の姿が見れないことに寂しさを感じ始めていたのです。
自分でも理解できない不思議な感情でした。心の中にモヤモヤが生まれて、どんどん大きくなっていくのです。
そんなある日、彼から呼び出しがありました。指定された場所に行くと彼はいきなり土下座をしたのです。
「ごめん。俺、お前のこと好きなのに傷つけてたんだな。」って必死に謝ってきました。
なんて分かりづらい愛情表現…。
真剣に謝る彼の姿を見ていたら、涙が溢れてきました。
「ごめん、本当にごめん。」と慌てて何度も謝る彼の姿を見ていたら、「違うの。好きなの。」と自然と呟いていました。
一瞬、固まる私と彼。
次に彼の口から出た言葉は「もう、絶対に泣かせないから。」私は「うん。うん。」と泣きながら声にならないくらいの小さな声で答えました。
その4年後、彼とめでたくゴールイン。
彼はあの時の約束を守り、私は1回も悲しい涙は流していません。