私と妻の馴れ初めをお話しします。
妻と出会ったのは8年前、職場の先輩が結婚することになり、その結婚式でのことでした。
仕事もプライベートでも、よく一緒に遊んでいた先輩で、私をとても可愛がってくれました。
先輩は私を披露宴はもちろん、結婚式にも招待してくれましたので、嬉しかった私は二次会、三次会、四次会と、先輩がいい加減に帰ってくれと言われるまで、付き合うつもりでした。
先輩の結婚式と披露宴はとても良いものでした。
先輩の奥さんとも親しくさせて貰っていたので、私は親のような気持ちになってしまい、しばしば涙ぐんでいました。
感動の内に披露宴はお開きになり、仲の良い人たちで二次会の会場に移動しました。
本当は2人にお祝いといかに式と披露宴が良かったかを伝えたかったのですが、二次会は何故か席が決められており、私は先輩たちとは対角の席でした。
熱い気持ちを伝えられず、悶々としていた私に、前に座った女性が話しかけてくれました。
「さっき披露宴で泣いてましたよね」
まさか見られていたとは知らず、私は恥ずかしくなってしまいました。
しかし、先輩に伝えられない気持ちを持て余していた私は、その女性にぶつけてしまいました。
女性が聞き上手だったせいか、話している内に、楽しくなってしまった私は先輩たちへの熱い気持ちをすっかり忘れてしまいました。
保育士をしているという彼女は、日頃子どもの相手に慣れているせいか、私のような曲者の相手もお手の物だったのでしょう。
私は恐らくその時点で、彼女のことが好きになっていたと思います。
しかし、私は致命的なミスを犯しました。
話をして満足した私は、連絡先を訊くのを忘れてしまいました。
帰りの電車の中で、気付いた私はとても悲しい気持ちになりました。
それからしばらくして、先輩から連絡が入りました。
新婚旅行のお土産を渡したいから、家に来るようにと言われた私は、言われるがまま先輩の内に行きました。
するとそこには、結婚式の彼女がいました。
呆気に取られた私を先輩は招き入れ、お土産を渡してくれました。
新婚旅行の思い出話を聞きつつ、彼女を交えて楽しい時間を過ごすことができました。
もちろん、今回はきちんと連絡先を交換しました。
そして何度かデートをして、正式に付き合うことになりました。
その報告にするために先輩の家に行くと、先輩たちは心から喜んでくれました。
そもそも今回の出会いは全て先輩夫婦のお膳立てによるものでした。
先輩が結婚し、私が寂しい思いをしないで良いように、奥さんの後輩との出会いをセッティングしてくれたのです。
不自然な二次会の席も、近くにいたら、私が先輩夫婦にベッタリなってしまい、出会いどころではありません。
席を離して、私に合いそうな出席者をセレクトして、席を配置したそうです。
思惑通り、仲良くなったのに、私が連絡先を聞き忘れるという痛恨のミスを犯してしまいます。
楽しいはずの先輩たちの新婚旅行に、ミソを付けてしまったのです。
新婚旅行から帰ってきた先輩は、直ぐ様私のミスをカバーすべく、すぐに手を打ったのです。
そして、先輩からの手厚い保護の甲斐もあり、私は彼女を作ることに成功しました。
そんな手の込んだことをせず、事前に言ってくれればとも思いましたが、変に意識して肩に力が入るよりも、何も考えない方が、良い結果が出せると分析した結果ということでした。
そんな出会いを経て、その彼女と結婚した私は、今でも先輩夫婦と家族ぐるみの付き合いをしています。