学校からの帰り道はいつもふたりだったから

私と彼はある専門学校の同じクラスにいました。
専門学校では中学校や高校などと同じく、クラスで時間割が決まっていて皆が同じ時間に授業を受けるので、帰る時間はいつも一緒でした。
みんな仲の良いクラスだったので、帰り道も方向が同じクラスメートと帰ることが多かったのですが、私と彼は特に一緒にいました。
というのも私たちが乗る路線が少々マイナーで、この路線に乗り換える人はほぼいなかったからです。
乗り換えてから私が降りるまでの約30分間、私たちはいつも二人きりでおしゃべりしていました。
しかし、その当時私は別の男性と交際していたので何か起こることはありませんでした。
彼の方が何歳か年上だったこともあり、またよく言えば人当たりの良い雰囲気、正直に言えば童顔で柔らかい雰囲気の彼。
私からするとクラスメートであると同時に「お兄ちゃん」「良き相談相手」という認識でした。

そのような関係が半年ほど続く中、私は交際している男性とうまくいかない日が続くようになりました。
デートに誘っても断られたり、メールの返事もそっけなかったり…とてもつらい日々を送っていました。
今振り返ってみると、その時交際相手には夢中になってやりたいことがあったので、私にかまっている暇がなかったのかもしれません。
それでもそっけない態度をとられ続けていた私は、ある日の帰り道に彼にこのことを打ち明けたのです。
すると…

「あのさ、そうやって〇〇(私の名)を傷つけてるのに付き合い続けてる必要ある?」
「だったらその男と別れて、俺と付き合った方がいいよ」
「俺だったらそんなことしない、〇〇のこと幸せにするから」

後日彼にこの日のことを聞くと、「別れろなんて余計なこと言ったかもしれない」と家に帰った後後悔したそうですが…でも私にとっては目を覚まさせてくれるような出来事でした。
数日後、私は交際相手に別れを告げました。
そのことを彼に報告すると「ちゃんと言えたんだ、よかったよかった」と。
そして改めて付き合いたい旨を伝えてくれました。

そこから5年の歳月が経ち、今では私の夫になっています。